卒業研究は大きく分けて、実験室実験、数理モデルの解析、データ分析(データ収集も含む)の3つの方向が考えられます。柴﨑のモットーは、うまくいけば小さくとも学術論文として世に出せる可能性のあるテーマ(の一部)を与えることにしています。つまり、学術的に意義のあるテーマを考えています。
実験
キイロショウジョウバエを用いて、社会学習実験を行うことができます。例えば、どんな場合で社会学習の傾向が異なるので、あるいは社会学習の結果が個体数に影響するのかを夢告館内の実験室で調べることができます。キイロショウジョウバエはモデル生物として長い歴史があるので、短いトレーニングでいろいろなことができるようになります。
数理モデル
抽象度の高いモデル(例えば、文化進化は生態学的な動態や生物進化にどのような影響を与えるのか)を解析することもできますし、具体的なケースのモデル(例えば、宗教は生物多様性や自然の量にどのような影響を与えるのか)を解析することができます。これらのテーマを選ぶ場合は、数理モデル入門や微積分の受講(特に力学系の解析)、プログラミングによる常微分方程式の計算など、個体ベースシミュレーション実装の知識が必要です。これらの知識がない場合は、教科書を指定しますので自習してください。プログラミング言語はどれを使っても構いませんが、柴﨑はRとPythonを使います。
データ解析
文化進化のプロセスをさまざまなデータから解析します。例えば、色の好みやテーマの流行などの時系列データを解析して、どのようなプロセスが文化進化を駆動しているか調べることができます。また、時間だけでなく空間的な文化の広がり(例えば、民間伝承の地理的分布)を解析したり、電子化されていないデータをコンピュータで扱えるようにして、先行研究の仮説や過程を検証するということもできます。これらの解析をする場合は、統計学や多変量解析の講義などで習った以上の知識が必要になるので良く復習しておいてください。なお、データベースを使うのではなく、自身でデータをとって解析するようなテーマも推奨します。例えば、文化が生物多様性に与える影響を京都や奈良で調べてみるのは、非常に興味深い学際的なテーマになると思います。